ひび割れ女子高生

女子校で凝固し粉砕され霧散しかけています

鏡の中と外

鏡に映る自分を観察していると、安心する。別に、私が特別美人だからとか、そういう訳じゃない。ただ、鏡の前で色々な表情を作って、鏡の中の自分が同じように動くことを確認していると、安心する。

鏡を見ながら化粧をしていると、鏡の中の自分の顔が、他人の顔のように見えてくる。少し不安になる。だけど、その他人は、やっぱり自分と同じように動く。そして私は安心する。鏡の向こうの彼女は、私のことを全部知っている。彼女の前では、嘘も誤魔化しもいらない。

いつも、自分の隣に彼女を連れていたい。

家を出る時間を告げる音がいよいよ大きく鳴り響き、無視できなくなる。この音を聞いていると、私は少しずつ奪われる。鏡を見ても、彼女の姿はもう見えない。さっきまで部屋に散らばっていたアルミ缶も、今はもう見えない。たかが1時間1200円の、連続した微弱で雑多な刺激。それが私を奪い去っていく。