ひび割れ女子高生

女子校で凝固し粉砕され霧散しかけています

内側の日

このところ労働続きでポエムが足りない。だからサティの詩集を読もうとした。だけどうまく読めなかった。代わりに他の本をいくつか開いてみたけれど、相変わらず言葉が入ってこない。でも、読んだことのある本なら、過去にその本を読んだ時に形成したイメージを脳から引き出すことさえできれば、書かれている内容がなんとなくわかった。本を読んでいるというか、思い出しているだけだけど。たまにこうなる。頭の前の方が圧迫されたような感じになって、新しい文章が読めなくなる。

仕方がないから、ベッドに転がって天井を眺める。敢えて焦点は合わせない。目の端、風で揺れるノートの角。シャンプーの匂い。換気扇の音。拍動。呼吸。耳鳴り。体はベットを突き抜けて下に落ちて消える。注意力を削ぎ切って、漸く辿り着く風景。忘れかけていた色々が、頭に浮かんだり消えたりする。

 

小学生の頃、電卓で0に1を足し続けて遊んだことを思い出した。百くらいまでは楽しい。千もまだ頑張れる。1万、そろそろ辞めたい。もう全く楽しくないし1年は3千万秒しかない、でもなぜか辞められない。

 

いつか読んだ短編を思い出した。タイトルは思い出せない。少年がガスタンクの梯子を登る話。少年は、少女のハンカチをガスタンクのてっぺんに括り付けると約束する。ところが、少年が梯子を登っている途中で、少女は登り始めの部分の梯子を外して何処かへ行ってしまう。それでもと意地になってひたすら梯子を登った少年は、やがて、上に続く梯子も途中で切れていることに気がつく。それで終わり。

 

どうして私は数々の記憶の中からこの2つを引き摺り出したんだろう。多分、わからないままのほうがいい。