ひび割れ女子高生

女子校で凝固し粉砕され霧散しかけています

普遍的つらさ

今日もベッドで血を抜かれる。特に事件も起きない変わらない日。食事のメニューは1週間前と同じ。ベッドの左にある窓からは、連日近くで行われている音楽イベントの騒ぎが聞こえている。女性シンガーの高い声は、幾らかの空気とガラス窓を通すと、蚊が飛ぶ音によく似る。これもいつもと同じ。

変化といえば、歩くときに膝が曲がって肩が揺れるようになった人が増えてきたことと、看護師さんが私を呼ぶときに「6番さん」の代わりに「血圧低い方」と言いはじめたことくらい。皆、変化を求めて躍起になったりならなかったりしている。

変化に富む生活にも、単調な生活にも、いつも、同じ種のつらさを感じる。私の感覚器の全てにつらさが張り付いていて、それを通してものを感じている気がする。つらさが強く意識されたときに、自分の置かれている状況を言語化してその特殊性を並べ立てればつらさの原因を突き止めることができるかもしれない、そう思って言葉遊びを始めたら最終的に物理学の勉強に辿り着いた。私にとって、この世は全体的につらいのかもしれない。もしかすると、単に、いつも血圧が低いからつらいだけなのかもしれない。わからない。