ひび割れ女子高生

女子校で凝固し粉砕され霧散しかけています

夜ごはん

学校はもう夏季休業に入ってしまったし、部活も休み。今日やったことといえば、自分の体重が減りすぎていないか確認したことと、自分の汗を布団に染み込ませたことくらい。

こういう日は、無性に素麺が食べたくなる。素麺は、私に、時計の短針と秒針を同時に想起させる。何の予定もない夏の1日、スケジュールを大きく埋め尽くす空白の中で小さく鳴る風鈴。広い空を背景にして、この世の隅っこで眺めた線香花火。素麺からは、これらのコントラストが所持する対立に類似した構造を見出すことができる。箸で掴んだ時の重量、曲線は、柔らかな包容力を思わせる。膨張色の白でドンと構えている。しかし、だからといって彼女の胸に突進をかましてはいけない。だって彼女は、私の口内という秘密の場所では、今にも折れてしまいそうな、感じ易くて込み入ったその内面を、私の歯に、舌に、教えてくれる。やっぱり今日は素麺が食べたい。

夕方、買い物にいく前の母にこの話をしたのだけれど、夕飯はポークソテーだった。夏バテ防止の為らしい。なんてガサツな発想。だけど、せっかく考えた色々が汗と土の臭いで台無しになってしまうのも、それはそれで夏っぽい。